第六章 俺の戦い

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相手の挑発に、猟斗はホイホイと釣られ臨戦態勢に入る。   両手の指の関節を鳴らし、軽くほぐして首を回した。   「あんた!せっかくいい感じだったのに!」   「あーあー、うっせーよ。ほいっと」   耳元で叫ぶヴァルキリーの言葉を、猟斗は片耳を押さえたまま聞き流す。   そして彼は、着ていたジャンバーと、それにベルトを巻いて着けていた魔剣・ストライクリレイピアが納まっている鞘を彼女に投げ渡した。   それをヴァルキリーは慌てて受け取る。   「ちょっ、猟斗!あんた!」   「さぁて、おっ始めようぜ!でくの坊!!」   ヴァルキリーの言葉を無視して、猟斗は大男の方へと歩いていく。   「チビが!粋がんじゃねえよ!!」   猟斗の挑発じみた言葉に、大男は右の巨腕を振り降ろしながら叫び返す。   彼はそれを両腕をクロスさせて受け止め、真っ正面から防御した。   よほど拳が強力だったのか、猟斗の腕が軋む。   「このやろっ……!!」   「弐連撃だ!!」   防御の体勢の猟斗に、左の巨腕が襲いかかった。   「そう易々と―――!!」   しかし、猟斗も黙ってそれを喰らわない。   彼は体をいなして防御していた拳から逃げ、回転しながら攻撃を避けた。   「なに!?」   「喰らうかぼけぇぇえ!倍返しだぁぁぁあ!!」   回転の勢いを使い、その状態で大男の懐に潜り込んだ猟斗は、左の肩を密着させる。   魔力を肩に集中させ、猟斗はそのまま叫んでソレを開放した。   「獅子!豪吼閃!!」   「ッ!!?」   猟斗の叫びと共に、勢い良く開放された魔力が強力な衝撃波となり大男を襲う。   彼はそれをまともに喰らい、一瞬浮かんで床に叩きつけられた。   「この……!クソ餓鬼が!!」   「お、タフだね。そうこなくっちゃな」   しかし。大男はすぐに立ち上がり、猟斗に向けて怒声を飛ばす。   当の猟斗は楽しそうに言葉を返し、拳を構えなおした。   喧嘩目当てで周りに集まっている野次馬は、彼らの喧嘩を固唾を呑んで見守っている。   ヴァルキリーは呆れたように、しかし心配でもあるようでとりあえずそのいく末を黙って見守る事にした。
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