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一方その頃、猟斗は喧嘩に勝利し大男を酒場の外へと放り出していた。
体や顔には複数の痣や傷があり、汗もかなりかいている。
彼は深呼吸をすると、カウンター席に座ってビールのジョッキに手をかけた。
「んぐっ!……ん、ん……」
口の中が少し切れていたようで、猟斗は一瞬だけ顔を歪ませる。
しかし、それでも飲むスピードを遅めずに一気にそれを飲み干した。
「猟斗!あんたねぇ!!」
「いや、悪い悪い。つい熱くなっちまって!やっちゃったんだぜ!」
ジョッキをカウンターに置くと、ヴァルキリーが怒声を上げて猟斗に歩み寄っていく。
猟斗はそれを反省の態度もなしに、笑いながら返した。
ヴァルキリーはそれを聞いた瞬間、顔を徐々に赤くさせていく。
「ばかばかばかばか!店のものあんなに壊して!どうしてくれるのよ!!」
「いや……どうしろって言われてもなぁ」
「いいよ、ヴァルちゃん。店で暴れてるの放り出してくれたんだ。俺は気にしてないから」
ヴァルキリーが思いっきり怒声を上げている中で、店長らしき男性がなだめるように割ってはいる。
彼女はそれが納得いかないようで、カウンターを叩いて猟斗の隣に立った。
「それでも!あの惨状はないでしょう!!」
ヴァルキリーは声を張り上げ、惨状となった喧嘩の跡地を指差す。
見事に壊れた椅子、机、食器その他諸々が、そこに散らばり、店員達がせっせと片付けていた。
「法術使って!あんた色んな人を巻き添えにする気だったの!?」
「あ……いや、うん。悪い」
「悪いで済まないわよ!ばか!!」
ヴァルキリーの言葉に、猟斗は何て言おうと思った挙げ句、頭を掻きながら謝る。
その惨状の原因となった法術、エーテルライトが勝敗を決したが、店のものを大量にぶち壊したのだ。
「まあ、いいよ。コレからはアイツもここには来ないって言ってたし」
「う……それでも……」
「それに、こんなボロい酒場でも案外儲けてるからさ。心配ないって」
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