第七章 猟斗と一緒

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「それは僕が説明します」   「「うわっ!!」」   「何ですか二人して。僕はいちゃ悪いですかそうですか……」   いきなり、ヴァルキリーと猟斗の間に現れる青髪碧眼の少年。   童顔で頼りなさそうな顔付きで、垂れ目で長い髪をゴムで束ねた彼のいきなりの登場に、二人は揃って驚き身を退いた。   それを見た少年――ハル・ソレイユは、ぶつくさと拗ねた表情で呟いた。   「ハル……。お願いだから、気配消して出てこないでくれる?」   「つか、ここ俺の部屋なんだから。ノックぐらいしやがれ」   引きつった表情のヴァルキリーはそう言って彼に頼み、猟斗はしかめっ面になりながら頭かき文句を言う。   ハルは二人に頭を少し下げながら謝り、その後すぐに咳払いをした。   「本題です」   「いきなりだなおい……」   早速立ち直ったらしいハルの様子に、猟斗は呆れながら呟く。   しかしそれを無視したハルは、マイペースに説明を始めていた。   「今回のお二方の仕事ですが、早朝の会議で決めた通り。今夜、中央都市ミッドガルドに向かってもらいます」   「……はい?」   ハルの説明の途中、猟斗は新たなる疑問に思わず声を出す。   「俺、それ知らないんだけど」   「当たり前よ。あんた、会議すっぽかしたんだもの」   「こほん。……説明を続けます」   話を上手く飲み込めていない猟斗の言葉に、ヴァルキリーが半ば呆れながらそれに答える。   説明を中断されたのが嫌だったのか、二人にわざとらしく咳払いをしたハルは強引に説明を再開した。
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