第七章 猟斗と一緒

7/43

356人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
猟斗達が出発した法術都市レムリアから、中央都市ミッドガルドへは馬車で約一週間かかる。   道のりは険しく、レムリア平原を抜け、その先にある森林を走り、山岳部に造られたトンネルを抜けなければならない。   街の外は地域にもよるが魔物が闊歩しているし、それだけではなく盗賊などの輩もいるのだ。   故に、馬車での移動時、油断は大敵なのである。   そして、猟斗達が出発してから三日が経った頃。   彼らに事件が起きた。   「見事に囲まれたわね」   「ったく、面倒な事してくれやがる……!!」   ヴァルキリーと猟斗は、互いに背を合わせ己が武器を構えながら呟く。   二人は苛立っており、ヴァルキリーは眉をひくつかせ、猟斗は眉間にしわを寄せていた。   彼らは、盗賊らしき人間達に包囲されている。   数は約十五人。   彼らに操者と馬は殺され、馬車は破壊されていた。   「私が居ながら……最悪ね……」   「この状況、どうやって打破するか」   武器を構えたまま、ヴァルキリーは悔しそうに言葉を放って歯軋りをする。   そんな中、猟斗は呼吸を整えながら彼女に尋ねた。   「勿論、アレしかないわ。平和的には無理」   「話し通じそうにないもんな。了解」   問いに答えるヴァルキリーの後に、猟斗は魔力を集中させながら返す。   「久々の獲物だ!しくじんじゃないぞ!!」   そんな中で、敵のリーダー格らしき、体つきが良く刀を構えた男が叫ぶ。   それに呼応するが如く、彼以外の人間達は雄叫びのように吼えた。
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

356人が本棚に入れています
本棚に追加