第七章 猟斗と一緒

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一方その頃、猟斗は敵のリーダー格の男と戦闘していた。   他の敵は倒しており、残りはそいつだけである。   しかし、男は強く、猟斗は苦戦を強いられていた。   「こいつ……!!」   「仲間の仇!取らせてもらう!!」   男の刀と、猟斗の魔剣がぶつかり合い、火花を散らす。   そんな中で、猟斗はとある事に集中していた。   彼の目線は、常に相手の武器である刀に向けられている。   「はぁぁぁぁあ!五月雨!!」   「ぬぁっ!!」   そんな中で、男は素早い動きで刀を振るう。   高速で敵を切り裂く技であろうそれに、猟斗は慌てながらも対応した。   刀の刃に、ストライクリレイピアの刃を合わせ、全ての攻撃を打ち払う。   (もうそろそろ……いいかな)   魔力を多めに込め、刃を堅くしていた魔力は、相手の刃をじわりじわりと削っていく。   「いい加減!死ねよぉぉぉあああああ!!」   「全力で断る!剣技!!」   ことごとく攻撃を防がれるのに痺れを切らしたのか、男の太刀筋が荒くなっていく。   それをチャンスと確信した猟斗は、一気に飛び退き、技の態勢に入った。   「旋縦撃!!」   「その程度!」   技名を叫んだ猟斗は、力強く大地を蹴り、縦に回転しながら攻撃する。   遠心力で勢いの付いた攻撃を防ぐ男だったが、刀がとうとう限界を迎えた。   ひびが走り、刃は折れ、空中を舞う。   それを信じられないといった表情の男に、彼の目の前に着地した猟斗は追撃態勢を取った。   「穿吼!!」   「しまっ――!!」   身を屈め、魔力を溜めた右肩を密着させる。   武器を握る力を強め、彼は止めの一撃を放たんとしていた。   そして、猟斗は吼える。   「獅子王斬!!!」   技名を叫び、猟斗は肩に溜めた魔力を解放した。   獅子の雄叫びのような音と同時に衝撃波が放たれ、猟斗はすかさず回転しながら敵を斬る。   相手はその後吹き飛び、バッサリと斬られた腹から血を噴き出しながら、絶命した。
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