第七章 猟斗と一緒

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夜。荷物から取り出した干し肉や、水。乾パンを手に、猟斗達は夕食を取る。   焚き火が絶えぬよう乾いた枝を放り込みながら、二人は地図を開いていた。   「ミッドガルドに行く前に、この村を経由して行きましょう」   取り出したペンで、ヴァルキリーはミッドガルドまでの道のりを書き込む。   そのルートは、少しばかり回り道だった。   村の名はミーレイド。ミッドガルドから見て北東に位置する村。   「たしかミーレイドは家畜の名産地。上手くすれば、馬が買えるかもしれないわ」   「馬……ねぇ」   地図を丸めながら、ヴァルキリーは嬉々として言う。   一方猟斗は、呆けた顔で火を見つめ、小さく呟いた。   「なに、不満なの?」   「……。別に不満ってわけじゃねーよ。ただ、馬は俺。乗れねーぞ」   猟斗はそう言って、更に焚き火に枝を放り込む。 枝が火の熱で乾き、弾ける様な音を立て、燃える。   「大丈夫よ。そん時は私が教えてあげる。あんたは運動神経いいんだから、すぐ乗れるようになると思うわよ」   「…………そんなもんかねぇ」   ヴァルキリーは自信満々な面持ちで言い、猟斗はあくびをしながら返す。   その後、ヴァルキリーは立ち上がった。   「じゃあ、猟斗。火の番。お願いね」   そう言って、彼女は自分の武器を外し、抱えるようにして座る。   髪を結っていた紐を解き、マントにくるまり、ヴァルキリーは瞳を閉じた。   「これだから野宿は辛いぜ……」   あくびをかみ殺し、猟斗は呟いて傍らにストライクリレイピアの納まった鞘を置く。   そして、その後交代の時間になるまで彼は延々と火に薪をくべていった。
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