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夜中。ヴァルキリーは小さく寝息をたて、彼女の愛剣、ブレイブブレイドの納まった鞘を抱きながら眠っている。
一方猟斗は、相変わらず火の番をしており、眠そうにしながらもしっかりと見張りをしていた。
「……。不眠で歩くのは、絶対嫌だ」
ぐっすりと睡眠をしているヴァルキリーを恨めしそうに見ながら、猟斗は愚痴を呟く。
そんな時だった。
何かの遠吠えが彼の耳に入って来たのだ。
「っ!!」
それに反応した猟斗は、傍らに置いていたストライクリレイピアの鞘に手をかける。
ちなみに、彼らは今森の中にいる。
森の中では、野生の動物や魔物が闊歩しているのだ。
「狼……か?」
遠吠えの主を想像しながら、猟斗はストライクリレイピアを抜いた。
しかし、刃は形成していない。
魔力を無駄に消費しないためである。
(……おかしいな。狼の遠吠えなら、何度も聞こえてくるはず)
猟斗は、そんなことを思い、しかし警戒を怠らない。
そんな時だった。
ヴァルキリーの寝ている木の後ろの茂みから、音が鳴ったのだ。
「誰――――!!」
「誰だ!!」
猟斗が叫ぼうとした時、遮ってヴァルキリーが叫んでいた。
手にはちゃっかりと抜き身のブレイブブレイドが握られている。
刃を茂みに向け、彼女は殺気を放っていた。
(……セリフ取られた)
一方猟斗は、そんなことを心の中で呟く。
不謹慎である。
「わたしに、刃を向けないでおくれ」
そんな時、茂みから女性の声が発せられる。
「姿を現せ。こちらが安全だと確認しだい、武器をしまうわ」
「…………」
ヴァルキリーは警戒から刃を向けたまま返し、猟斗はそれにあわせて臨戦態勢になる。
女性の声はそれに何も返さず、しばらくその場に沈黙が降りた。
「わかりゃんした」
二、三分経ってから、女性の声はそう言った。
そして、声の主は茂みから現れる。
「わたしは武器を持ちませぬ故。刃を降ろしてくりゃれ?」
「な――っ!?」
「はぃぃぃぃい!!?」
姿を現したのは、案の定女性だった。
しかし、その格好に猟斗達は驚いて声を上げる。
その格好とは……裸だったからだ。
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