457人が本棚に入れています
本棚に追加
道場のトレーナーが慌てて対応する。
「ちょっ…ちょっと待っててくれ!今すぐ宮沢さんを呼んでくるから…。」
トレーナーがあたふたと宮沢を探しに出ていった。
道場中が銀髪の男に注目する。
大半の者が昨日の現場にはいなかったが、昨日、この男が何をやってのけたかは全員が知っていた。
突き刺さるような無数の目線にも銀髪は全く動じず、むしろこの状況に心地良さすらおぼえていた。
「あ、どうぞどうぞ。皆さん俺の事は気にせず練習に励んで下さい。(笑)」
銀髪としては何気ない言葉だったが、一人だけ、その言葉を挑発と受け止めた男がいた。
「随分余裕だな。テメエが昨日やった事考えたらここは敵地だっつー事が分からねー訳ねーよな?」
西島が銀髪の顔に顔を近付ける。
すると、銀髪は思わず顔を背けた。
「…申し訳ないけど、人に顔近付ける時は歯磨いてからの方がいいよ…。」
おどけた態度で放ったこの一言に、道場中が凍りついた。
皆西島の恐さを知っているのだ。
面子を潰された西島の顔は真っ赤になり、血管が今にも破裂しそうなほど浮き出てきた。
最初のコメントを投稿しよう!