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道場生全員が見守る中二人が向き合った。
西島は本来のボクシングスタイルより、若干タックルを警戒して、重心をやや後ろに置いた構えを取る。
そして銀髪は…前に出した右腕を下げ、奥の左手で顎の部分をガードするデトロイトスタイル。
「んじゃ遠慮なく行かせてもらうぜ。」
「いつでもどうぞ♪」
西島が余裕の笑みを浮かべ、銀髪も笑みで返す。
次の瞬間、西島の右ストレートが銀髪の右頬をかすめる。
間一髪避けたものの、確かにパンチの早さはMAM屈指である。
「どんどん行くぜ!」
その後も、銀髪の周りをサークリングしながら、次々とスピーディーなジャブを放っていく。
…だが、その拳が的を捕らえる事はなかった。
(チッ…なんて眼ぇしてやがる!!)
ジャブはボクサーの攻撃の初めの一手である。
ダメージを与える効果もあるものの、それより、距離を計ったり、次の攻撃への突破口の意味合いが強い。
そのジャブが全て見切られているのだから、西島のペースが最初から狂ってしまっている。
結局、次の一手を出せぬままジャブを打ち続ける。
(クソッ!当たれよ…)
!!!!!!!!!!!
一瞬目の前が真っ白になる!
鼻の奥に予想もしていなかった痛覚が走る。
(喰らった!?)
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