衝撃のスパーリング

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汗もかかず、既に上着を着ていた銀髪が西島に近づく。 「あんたさぁ…ボクシング対決って言ったのに、なんで総合用の構えとってたの?」 「!!」 西島は、ボクシング対決のつもりだったのに、自然と総合用の構えをとっていた自分に気付いた。 「良い武器持ってんのに、下手に他の事覚えようとすると、せっかくの自分だけの武器すら無くなっちゃうよ…。」 ボクサーが総合に転向して成功した例は皆無に等しい。 競技の性質上、ボクサーは下半身への対応に慣れていないのだ。 西島もその一人で、総合転向後は、必死で下半身への攻撃に対する反応を磨いてきた。 だが、確かにそうする事で、ボクサー特有のファイトスタイルが消えてしまっていたのだ。 銀髪が西島に手を差し出す。 西島は、銀髪の言葉に打ちひしがれていた。 今までの自分のやってきた事…そして、これからやるべき事…。 「フッ…上等だ…俺はボクサーのまま、総合でのしがってやるよ…。」 西島は差し出された手を握り返した。 その表情は、どこか迷いが晴れたような清々しい表情であった。
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