刺客

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ここで、西島は中田が苛立ってきた事にようやく気付いた。 「おいおい、もう決まった事なんだし、お前には関係ない事なんだからいいじゃねーか。 それに、話してみると案外いい奴だぜ。」 西島なりに気を使ったつもりだったが、逆に中田の神経を逆なでしてしまった。 「関係ない…?何が関係ないんですか!! 俺は不様にKO負けしたっつーのに、奴はいきなり横から出て来ておいしい所全部持っていっちまったんですよ!!」 中田の声が道場に鳴り響く。さすがに道場生もただならぬ空気に手が止まった。 怒り心頭の中田に、最初こそ戸惑っていた西島だったが、次第に自分も語尾が荒くなってきた。 「だから…お前には関係ねーだろーがよ! 別にお前がやられた訳じゃねーんだからよー!! 妬んでるだけだろーが!!」 「!!妬ん…自分こそ一発でやられたそーじゃないっスか!! なのにすっかり取り込まれやがって…プライドはねーのか!!」 「…なんだとこのヤロ…ぶっ潰してやる…。」 西島は完全にキレてしまっている。 「あんたに俺は倒せませんよ…。」 中田も迎え撃つ気マンマンだ。 「ッ…上等だ。自分から寝る前に俺が眠らせてやる!!」 まさに一触即発の空気が漂い、慌てて道場生達が止めに入る。 だが、二人とも火が着いた状態で止まりそうにはなかった。 そして、互いに構えを取り、今まさに始まろうとしたその時………
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