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「何やってんだ、お前ら!!」
宮沢の一言に、熱くなっていた二人の血の気が引いてゆく。
一線を退いたとはいえ、宮沢の実力はまだまだ日本人では最強クラスであり、指導者としても『鬼コーチ』として、中田・西島をはじめとして多くの選手を指導してるのだ。
「ここは道場だ。スパーリングならともかく、喧嘩は外でやれ。」
宮沢に気圧され、二人はすっかりおとなしくなる。
「いや…俺は……中田、悪かったな…。」
「いえ、俺の方こそ、ついカッとなって生意気な事を…すんませんでした。」
何はともあれ、道場を襲った波は無事去ったようである。
「おい、中田。」
落ち着きを取り戻した中田を宮沢が呼び出した。
「中田。今回の事はお前にとっては面白くないだろう。
だが、俺はお前にタイトルマッチというチャンスをやった。今回はそれを生かせなかった。
チャンスはそう何度も来るもんじゃない。
お前に残された道は、次のチャンスをおとなしく待つか、自分で手繰り寄せるか…二つに一つだ。分かったな。」
「…はい。」
自分の置かれている状況、おそらくはしばらくチャンスはまわってこないだろう事は容易に想像できた。
ならどうする?
中田は思いついた。自分でチャンスを手繰り寄せる方法を…。
「待ってろよ銀髪…。お前の首をとって、再び俺がチャンスをモノにしてやる!!」
カイザーと中田。
本人の知らない所で、MAMの未来を担う実力者二人のターゲットにされてしまった事を、リュウトは知る由もなかった…。
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