457人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、中田…。何言ってんだ…。」
宮沢も動揺を隠せない。
「宮沢さんの言った通りにやるまでです。」
すると、中田はマスコミの方へ向き直り、一礼した。
「皆様の目当てが僕なんかじゃないのは分かってます。
先日の試合、僕の力が足りず、皆様には不本意な試合を見せてしまった事をまず謝ります。
そして、その結果を踏まえた上でお願いします。
僕とあの男との試合を認めて下さい。お願いします!!」
中田がマスコミに対して深々と頭を下げる。
そして、今度は幹原と宮沢の方を向いて土下座をした。
「身の程知らずを承知でお願いします!どうか…どうか僕を奴と闘わせて下さい!」
中田は普段こんなに大胆な行動に出る男ではない。
ようやく掴んだチャンスを生かせなかった事で、自分の存在価値が無くなってしまう事への焦りはもちろん、試合に負けた上に、自分を負かした相手を通り魔のように倒してしまったリュウトへの嫉妬心が、彼を行動に移させたのだ。
宮沢もそれを十分承知だったが、既に今後の予定は決まっている。
いかに愛弟子の頼みだとしても、容易には認められるハズが無かった。
「Mr.ミキハラ、Mr.ミヤザワ!」
ドアが開きまた一人、リュウト以外の人物が会見場に入ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!