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マウリシン・カイザーである。しっかりと通訳まで連れてきている。
その後もカイザーがポルトガル語でまくし立てる。
それを通訳が同時に訳す。
「幹原シャチョ、宮沢ブチョ、『ガンタレイ』ニ恥ヲカカセタ『奴』ヲワタシハ許セマセン。
『奴』トノ試合ヲ希望シマス。」
通訳のイントネーションがおかしい。おそらく本職の通訳ではないのだろう。
外見も、見るからに日本人ではない。
尚もカイザーが喋り続ける。
「『奴』ガ『ガンタレイ』ト闘イタイナラ、マズ私ヲ倒シテカラニシテモラオウ。」
突然の乱入者二人(三人)に宮沢も言葉を失ってしまった。
しかし、その横で幹原は嬉しそうに微笑んでいる。
マスコミも一斉にカイザーに質問を行うが、いかんせん通訳が拙い為、まともな返答は返ってこなかった。
最後方、杉田がこの状況に唖然としていた。
「おいおい、こりゃ本当にMAMの記者会見かよ?
これじゃまるでプロレスだぜ!?」
目の前で繰り広げられている状況が、確かに『台本』など存在しない事を、杉田は長年の経験から感じとっている。
それが、杉田を『最高』に興奮させていた。
「クックック…たった一人の存在で、こうも変わっちまうとはな。」
宮沢がガンタレイに敗れて以降、杉田が…沢山のファン達が待ち望んでいた『救世主』の存在に、気が付くと杉田の目からは涙がこぼれてきていた。
「んじゃ、もっと面白くしてあげるよ。」
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