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横からの声に杉田が振り向く…
…と同時に会場の照明が落とされる。
一瞬のザワメキの後、一筋のスポットライトが『その男』を照らした。
そこには、紛れもなく『銀髪』の冴木龍斗が立っていた。
ひとしきりカメラのフラッシュを浴びた後、、リュウトがゆっくりと歩き出す。
既にその手にはマイクを持っていた。
「社長、宮沢さん、俺はいいですよ。どちらと闘っても。」
その言葉に、宮沢が困惑する。
(お前がガンタレイとしか闘りたくないって言ったんだろうが…。)
意外だったのか、中田も、そしてカイザーも、状況が読めずに立ちずさんでいた。
リュウトがそんな二人を見比べる。
「…で、どっちが先に闘るの?」
その一言に、二人共我に帰った。
「も…もちろん俺だ!俺はお前に貸しがある!!」
カイザーも同時に主張したが、通訳を通す分だけ遅れる。
「ガンタレイト闘イタイナラ、マズ俺ト闘エ!」
二人が目を見合わせる。
「俺が先に言ったんだ!」
「俺ノ方ガ奴ノ相手相応シイ!」
マスコミも黙ってはいない。
「冴木くん、君はどっちと闘いたい?」
「ファンはガンタレイとの一戦を期待してますが、あなたにその資格があるかどうか、証明するのも必要だと思うのですが…」
リュウトの紹介を済ませ、ガンタレイとの試合を発表する…これだけでも十分過ぎる程のサプライズだと考えていた宮沢だったが、既に当初の予定以上のサプライズが、自分の身にふりかかっていた。
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