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ここで、ようやく会場の照明が元に戻り、二人の間を裂くようにリュウトが喋り始める。
「OK。んじゃあ面倒だから、二人一緒に相手しましょう。」
状況が飲み込めず、一瞬会場全体が静まり返った。
「…いや、二人同時じゃないよ!
次の大会、一試合目で一人、そしてメインでもう一人と闘る…どうですか?社長、宮沢さん☆」
思わず幹原が吹き出す。
宮沢は冷静に場を見つめていた。
「…で、その場合、お前はどっちと先に闘いたいんだ?リュウト。」
中田とカイザーが同時にリュウトを見る。
「まぁ…最初に立候補したのは中田選手だし、最初は中田選手にしますか。」
中田が心の中でガッツポーズをする。
しかし、カイザーは釈然としない様子だった。
カイザーが通訳に向かって話しかける。
「一試合終ワッタ後ニ俺ト闘ウ?舐ルナ!
ナラ俺モ、一試合闘ウ。オ前トノ試合ハソノ後ダ!」
マスコミがどよめく。
ここで、幹原が口を開いた。
「いや~、面白い展開になってきたね。
では、今ここで思いついた私の案を発表させて頂こうかな。
次回、『MAM・32』は、ミドル級タイトル挑戦者決定戦トーナメントを開きたいと思います。」
さらに会場がどよめく。
幹原が続ける。
「まず一試合目『冴木龍斗VS中田陽介』の勝者と、ニ試合目『マウリシン・カイザーVSヒカルド・ヒローヤ』の勝者が、メインで闘い、その勝者が王者ガンタレイ・キラーの持つ『MAMミドル級のベルト』への挑戦権を得る……というのはどうでしょうか?」
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