王都からの手紙

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リア・ファル公国の南に位置する町、リース。 リア・ファル南方都市では最大の規模を誇っている。 リア・ファルはもともと緑豊かな国であるが南方地方は特に自然が多い。その為エルフやドワーフなどの多種多様な種族が住んでいる。リースはそれらの種族との交易で栄えてきた。 また広大な盆地を擁しているので食料の生産地としても有名である。 そのリースの町の教会に18歳になった少年フェイは居候していた。 教会の司祭は数年前にリア・ファルの国都を離れ、リースに教会を建てた。 司祭はフェイの教育係でもあった為。自然とフェイの足もここへと赴いたのも当然である。 司祭を頼って3年前にフェイはこのリースに来ていた。 この日、フェイは湖に釣りに来ていた。池に釣り糸を垂らして仰向けに寝っ転がっていた。 「やはりここにいましたか・・・」 司祭服にメイスを持った初老の男が近づいてきた。 「バレギロ司祭・・・。」 フェイは起き上がると司祭の方へ歩いて行った。 「フェイ様。王都に戻らなくてよいのですか?」 心配そうにバレギロ司祭は聞いた。彼はフェイから何にも聞かされずにいた。王族は国家の礎である。バレギロ司祭は三年前に急に現れたフェイに疑問を持っていた。 フェイはいつものように笑って答えるのであった。 「まだ、やることがあるんですよ」 バレギロ司祭は首を傾げた。
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