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「・・・やはり、動いたようだね」
フェイはつぶやいた。バレギロ司祭は首を傾げていた。それを見てフェイは笑うと手紙を見せた。
「見てよろしいのですか?」
バレギロ司祭の言葉にフェイは頷いた。
「こ、これは!?」
手紙に書いてあったのは謀反の知らせであった。謀反人の名はウォルター伯。前女王の弟、つまりフェイの伯父である。
「バレギロ司祭、このリースには神官騎士は何人いますか?」
「現在50人程度です。ここには領主がいませんから・・・まとまった兵力を常駐させてません」
リースの町は多種多様の種族がいるためかなり高い統治能力が必要となる為、適任者がいない場合は領主不在となる。前回、反乱が起きたのも領主の統治能力の欠如であった。
「町に戻りましょう。バレギロ司祭は神官騎士達を集めてください」
「はい、任せてください。フェイ様はどこに?」
「友人達に援軍を請います。すぐ駆け付けるので教会で待っていてください」
バレギロ司祭とフェイは走りだすが初老のバレギロ司祭はフェイに置いていかれる。
「体はしっかり鍛えられていたみたいですね」
バレギロ司祭も体を鍛えていた。それよりも更に早く走るフェイを見て顔を綻ばせるのであった。彼にとってフェイは息子のようなものであった。
バレギロ司祭は走りながらある決意をする。残り僅かな人生を彼に捧げようと・・・
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