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 不思議な建物……それがしばらくここの保全隊基地を歩き回った感想だ。  中央施設と呼べる建物は6階建てで、下の階から上の階を見るとただの天井だが、逆の場合、例外(トイレ及び更衣室)を除き、まるで全てガラス張りのように見えるのだ。  セキュリティーのためらしいが、はっきり言って暫くの間本当に床があるか不安で摺り足のように移動した。  当然機密度の高い事柄は上の階で処理をされ、俺の仮の身分証では3階より上には行けなかった。 「他もこんな感じなのか?」 『はい、大抵はこの様な造りの建造物となっておりますが……高層建造物の場合は1階層しかこの様に下は見えません――私には解りませんが極度の恐怖で動けなくなる隊員が続出したためだそうです』  そりゃ、そうだろうな……地上50メートルとかで床が見えないっていうのは相当怖いだろうし、俺なら常に飛行魔法を発動待機状態にして無いと耐えられないと思う。  気がつけば会議室の前で足を止めていた。  ドアのガラス部分から覗くと、相当白熱しているらしく身振り手振りが大きく、意見が対立でもしているのか空中に浮かぶディスプレイ――ホログラムかもしれない物を指差しながら唾を飛ばしあっていた。  ――ホログラムの発生装置はどこだ? 特定の空間内じゃ無いと出来なかったと思うけど……まあ、この世界の方が技術が進んでいるのか。  そんな事を考えて室内を覗いて時だった。 「――会議の内容が気になりますか?」  話しかけられた……まあ、会議室を人目もはばからず凝視していたのだ、その奇行に興味が湧いて話しかけたのかもしれない。  振り返ると髪の毛をオールバックにした男性が……。 「……?」  ――あれ? さっきの声は男性にしては高い声だったぞ? 「……?」  俺がまじまじと目の前の男性(?)を見ながら首を傾げるという大変奇妙な仕草に相手も首を傾げていた。
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