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俺は多少悩み……結局疑問を問う事にした。
「――大変失礼な事を訊ねますが、あなたは……」
そこで更に一瞬悩み……。
「――女性ですか?」
自分の直感を信じた。
「うーん――個人としては喜ぶべきなのか残念がるべきなのか……」
わけの判らない事を呟くと少し間が開いた。
「確かに私は女ですが……むぅ」
複雑な事情があるらしい。
「まあ、私の魔法は男性が魔を払うための物で、私のような女性は魔に憑かれ易いので外装は男装して魔法を行使するという風習が残っていまして……」
変わった魔法だな……
「――全くです……まあ、馴れれば相手の反応を楽しむ事も出来るようになる」
「――なるほど、って待った、俺の心が読めるの?」
「? ――あれは会話では無かったのか?」
どうやら、考えが言葉となっていたらしい――気をつけないと……。
「不用心だな」
「――流石に今回は口に出さなかったと思うんですが……」
「いや、今回は顔に書いてあった――ポーカーとか出来ないだろ、君」
俺がわかりやすいのかこの人が異常に鋭いのか――判断に迷う所であるが……後者だと信じたい。
「――それで、会議室の中が気になるかい?」
気にならないといえば嘘になる。
「でも、会議なんて機密の集まりに『コレ』なんかで会議室に入れますか?」
首から提げた身分証を指差してみた。
「大丈夫だろう――この会議室を使っている隊は……やっぱりな、この隊なら恐らく研究成果の発表がメインだから見学してくれた方が喜ばれるだろう」
「はあ……そうなんですか」
そこまで言われれば断るのもかえって失礼だろうと思い、俺は会議室に入った。
そこでは先ほどよりもテンションが高まった会議が繰り広げられていた。
「――――!?」
「……!」
「――……?」
「――――」
『……!』
俺たちが入って来たことにも気づかないとは余程重要な内容なのだろう――しかし……。
「――? ……おかしいな、急に言語変換が出来なくなった」
「あ、忘れてた――機密保持のために独自の変換魔法が使われていてね……そこの札に地肌で触れれば内容が聴けるようになるよ」
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