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「……それに、キョウスケも私と同じ理由でしょ?」 「――え? 俺は普通に試験を受けに来ただけの、筈……だよな、シンディア?」  残念ながら、俺は入隊資格を持っていないので普通に受験をしている筈……と思いつつシンディアに確認してみた。 『その筈ですが……何か我々の知らない事情でも有るのでしょうか?』  不思議そうな声音をシンディアは出し、どうやら記憶違いでは無い事に俺は安堵したが……今度はそんな俺たちの様子にスピカが首を傾げた。 「――あれ? 話と違うような……」 『もしかしたら、揉み消されているのかもしれません――その可能性を考慮するのならば、彼に気を抜かせない為にも黙っているべきかもしれません……』  相手の主従はどうにも気になる話をしていた……。 「そんで、何の話?」 「――ただの思い過ごしだったみたい、気にしないで」 「……いや、そんな言い方されて気にしない奴はいないぞ?」  明らかに俺の知らない部分の重要な情報の様である……聞き逃す事は出来ない。 「あのさ、スピカ……」 「……(フルフル)」 「――いや、何も訊いてないのに何度も首を横に振るなって」  スピカの陥落は無理そうだった……。 「なあ、フォ……」 『――黙秘権を行使します』  ……とりつく島もない、とは正にこの事――しかも名前すら最後まで訊かずに即答された。 「いや、そんな事言われたら、気になって精神衛生上……」 『我が主……スピカ様が黙秘をするならば、この件に関して私に発言の権利は有りません』  あえなく撃沈……。 『――お二方、これ以上の意地悪はご容赦を……このままではマスターが泣いてしまいます』 「――って、泣くかバカ!」  状況を見かねたシンディアが援護射撃――と、思いきや予想外の一撃だった……。  そんな漫才のような掛け合いにスピカは困った顔をして首を横に振り、フォルテスは黙秘を貫いている。 「…………」  ここまで頑なだとかえって興味がわくが――彼女達は決して口を割らないだろう。  知らぬが仏、という言葉も有る事だし……今回は引き下がる事にした。
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