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ツェリさんとスピカさんを見ると、口には出さないけど同意見といった感じだった。
「――なんと言われようと、これだけは変えられません」
すると、3人とも少し呆れたような笑みを見せた。
「……血は繋がって無くても、やっぱり恭介の娘なんだね――頑固というか、一途っていうか……」
「そうだな、こういうタイプは止めてもむだだ……まあ、頑張れば一年の内に2ヶ所を除いて全てを回れる筈だ」
「――やるのなら半端は許さない、自分の足で見てきなさい……多分、恭介も同じ事を言う」
三者三様の応援の言葉を貰ったようだ……。
「あの、『2ヶ所を除いて』とは、一体どういう意味なのですか?」
今のセリフのなかで気になった事を訊ねてみた……すると、アズサさんはしまったと言った表情を浮かべた。
ツェリさんとスピカさんは少々険しい表情でアズサさんを見ていた。
――よほど重要な場所らしい。
「――なあ、ハイネ……恭介は一度死んで、私たちの前にいたのは限りなくイコールで表せられる複製だったとしたら……」
「「――アズサ!」」
私は初めて見た、いつもあまり表情を変えないスピカさんと、いつもにこやかに笑っていたツェリさんが激昂する場面を……。
「――えっと、それは一体どういう意味ですか?」
そして、私だけが除け者だった。
「――こればかりは恭介の日記に載っていない……ほぼ全ての彼の軌跡を巡ったのなら私たちの元へ来なさい、その最後の欠片は私たちみたいな関係者が持ってるから」
どういう意味かわからなかったが、とりあえず私は父さんの後を追いかけて世界を巡りながらお父さんの日記にかかった魔法を解除していく事にした。
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