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「……まあ、初めてです」  獣人……ライカンスロープの分かりやすい例は『狼男』だろう。  簡単に説明すれば獣と人間のハーフである。 「そうですか……それでは出生世界は科学世界ですね――あれ? ですが魔法使い部門で試験登録されていますよ?」 「間違っていませんよ? ――魔法に才能があったようで今は魔法学校に通ってますから」  そう返答すると彼女は納得したのかそれ以上踏み込んだ話題をしてこなかった。 「――それで、気にはならないのですか?」 「何についてです?」  彼女はおもむろにそう切り出した。 「――私の出自についてです」 「あなたがこちらの出自を気にしないのならこちらも気にしませんよ――多少信じられない事で驚いてはいますが、ありのまま受け止められないとやっていけませんし」  笑みを浮かべながら返答をすると、虚をつかれたような表情をした。 「――それでは、私があなたの過去を訊ねていれば訊ねましたか?」 「それはどうでしょう……やはりそれは訊くべき内容ではないでしょう」  彼女の目が微妙に細くなったような気がした。 「――まあ、誰にでも知られたくない過去はあります……それが解るためにロスト・フラグメントの私の過去を興味本位で訊こうとしなかったのでは?」  そうつけ加えると彼女は目を閉じ、何度か頷いた後に目を開いた。 「……倍率はかなり高いですが、あなたならきっと合格します――あなたと共に働ける日を楽しみにしています」  そう激励の言葉を贈られ、俺は支部の探検を開始した。
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