その人は恐かった

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「おう❗どうしてくれるんだ、コラッ‼」   よりによって、こんな恐い人の車に…とマサルは焦った。   《東京湾に浮かぶ》ことが一瞬脳裏をよぎったが、まず、謝らなくてはならない、と思った。   「申し訳ありませんでしたッ‼」 腰を直角以上に折って頭を下げる。最敬礼よりも深く、自分の足の間から後ろが見えるくらいに、勢いよく頭を下げ、大きい声で真剣に謝った。   「ゴメンで済むと思ってるのか⁉修理にいくらかかると思ってるんだ⁉‼」 恐ろしい顔で睨みつけ、ドスの効いた低い声で、怒りをぶつけてくる。
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