僕たちは真剣だった

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「ダメだ。君を残しては行けない…」 キョウイチは悲痛な表情を浮かべて、マサルに詰め寄り、マサルの両肩をつかみながら、言い放つ。   「何のために、ここまで来たんだ⁉何のために、ここまで急いだんだ⁉僕に任せて、いいから君は行くんだ‼」 マサルは、キョウイチの両肩をガッシリとつかみ返して、激しく揺すりながら、叫んでいた。   「しかし…行けない…」 と、それでもキョウイチは行こうとはしない。   マサルは、恐いオジさんのほうへ振り向くと、再びお願いした。頭を思い切り深々と下げて。   「お願いします‼どうか彼を行かせてあげてください‼お願いします‼」 真剣にお願いするマサル。   小雨で、ふたりはもうびしょ濡れになっていたが、夕方の駅前の喧騒すら意識していないくらい真剣だった。
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