プロポーズ

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聖也の五歳の誕生日。   俺はいつものようにケーキと聖也が欲しがっていたトーマスのプラレールを持って、エリカのマンションのインターホンのボタンを押した。     ピンポーン。     ドアの鍵が開けられ、聖也が急いで出てきた。     「よう聖也、お誕生日おめでとう。 お前の好きなトーマス買ってきたぞ。」     「わーい、ありがとう、おじちゃん。」     「オーナー、いつもすいません。」     エリカは申し訳なさそうに言った。     「俺は聖也の喜ぶ顔見るのが楽しみだからな。 ほい、ケーキ。」     俺はバースディケーキをエリカに渡した。     「椎名さん、いつもすいません。 今、絵里と話してたんですよ。 絵里と聖也が世話になってるせいで、結婚できないのかしらって。」     エリカの母親までが申し訳なさそうに言った。     「お母さんまでひどいなぁ。 俺は理想が高いんですよ」     「そういえばオーナーの理想の女性ってどんな人なんですか? 聞いたことなーい。」     「それは…まぁ、俺の理想の女の話なんてどうだっていいよ。」
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