椎名和明

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俺は今、クラブ夜蝶を経営しながら、妻の2つのお店を総括している。     だが俺は初めからネオンにいるわけじゃない。     俺の親は医者で、当然病院を継ぐものと思っていた俺は親を裏切り勘当され、自分でバイトしながら、大学で経営を学んだ。     誰かに使われる仕事が昔から嫌いな俺は大学卒業後すぐに不動産屋に目を付けた。     その頃、世はバブル全盛期で面白いほどに儲かった。    だが、俺がやりたかった仕事ではない。     当日、接待などでクラブに行くことが多かった俺は、なぜか夜のビジネスに興味を持った。     俺は男だからホステスになりたかったわけじゃない。  ホストをしようと思ったわけじゃない。     お水の世界こそ奥が深く、やりがいを感じる仕事はないのではと思った。     それからの俺は毎日のように色々な酒場に足を運ぶようになった。     ある日、いつものように酒場巡りをしてると、まだ行ったことのないお店の名前が目についた。     “クラブあさみ”   そこは若い姉ちゃんが多く、そのわりには躾けが行き届いている。     きっとママがしっかりしてるからだと思った。
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