椎名和明

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俺にとってその店は居心地が良く、通うことにした。     俺は客だから、客の気持ちはわかる。   それをどう店側が理解し接待するのか。   椅子やテーブル、店の雰囲気。   黒服の接客態度。   会話の内容。   それに何といってもホステスの質だ。     まだまだあるが、俺は色んな角度から勉強させてもらった。     その分、この店で俺はかなり金を遣ったが。   さすがにクラブあさみにとって俺は上客だった。   ホステス何人も指名し、豪遊してたのだから。     だがそんな生活も長くは続かなかった。     バブルが崩壊して俺は会社を失った。     クラブあさみのママはそんな俺を見捨てたりはしなかった。     「椎名ちゃんなら、大丈夫。またすぐに復活すると信じてるから。 お代はその時まとめてもらうから、飲みたくなったらいつでも来てくれたらいいのよ。」     そんなママの気持ちが嬉しかった。     俺は大きくなって、きっとまた銀座に戻ってくる。     そして、銀座を去った。     その後、俺が銀座を離れて二年後に夜蝶をオープンした。     それまでの二年間は…
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