自転車は進む、されど止まらず

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 ……怪我はないようだった。 「なにかできることはない? して欲しいこととか。何でもするからさ」  眉を八の字にした夏美は、見知らぬ後輩の少女にそう訊いた。 「……じゃあ。ちょっと、ついてきてください」  歩きだす少女に、夏美はついていく。  少女は、高野和(たかや かず)という名前であることを夏美に教えた。  ……どうして夏美の名前を知っていたのか。それを答えることはなかったが。
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