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「――何か、場違いな気がしてきた……」
善がそれはそれは広い会場を見て呟いた。周りを見渡すと若い人はあまりいない。でも、少しメタボ気味の中年の男性や、見ただけで高そうだと思える指輪をしている婦人など、明らかに上流階級だろう人物がたくさんいた。
「善、あそこの痩せた禿頭があるだろ?」
雄也がシャンパンを飲む初老の男性を指差して言った。日本人ではない様だ。
「うん」
「俺の社長だから変な事はするな。決して、俺を話題に出すな。俺は避けるから」
念入りに雄也が言って善は気のない返事をした。
「はいはい……。
潤さんはいないのかな?披露宴だよね?」
「あいつは偉い奴らと話でもしてんじゃねぇか?太朗達が来たらまとまって挨拶行くからあまり離れんなよ」
「ちょっと食べ物取ってくる」
善がそう言ってご馳走の並ぶテーブルへ歩いて行った。
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