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「耕太は来んのか、つまらんのう」
およそ東京にふさわしくない訛りで青年が呟いた。素朴な外見――もっとも、今は正装で身なりは立派だが――で雄也と同い年だ。
その傍らに太朗がいて口を開いた。
「伊知郎、耕太さんにはあのプレゼント渡しといたよ」
「そうか。ありがとな」
青年――伊知郎が太朗に礼を言って雄也の姿を見つけた。
「雄也!久しぶりじゃな!」
急に呼ばれて雄也は露骨に嫌そうな顔をして伊知郎を見た。
「バカ、大声で俺がいるのを言うな」
「何でじゃ?有名人じゃからか?じゃったら安心せぇ!洋楽じゃからそこまで知られてないじゃろ!」
快活に笑って伊知郎が言うと雄也は呆れながらため息をついた。
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