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「げっ、見つかっちまった……」
忌々しく雄也が呟くと日本語で雄也は話を繋げられた。
「来ていたのか。そちらは、友達か?」
「わしは伊知郎って言うんじゃ。よろしゅう」
にこやかに伊知郎が握手をした。
「こちらこそ」
「あ、僕は太朗っていいます。雄也先輩にベースを教わっていました」
続いて太朗が握手をした。
「そうか。こちらこそよろしく。ところでユーヤ。何でこんな所に?」
「友達なんすよ、潤の。社長こそどうして?」
ぶっきらぼうな言い方で雄也が言う。
「慶安前社長とは旧友だ。息子の披露宴に来てくれと頼まれてね。
そうだ、こんな所で難だがツアーの事で話さないか?」
「だから、言ってるじゃないすか。俺はツアーが好きじゃないって」
「だが、君を待ちわびるファンは世界に大勢いる。ファンサービスは大事だ」
苦い顔をして雄也は社長の肩を組んで太朗達から少し離れた。
「だから、ジェーンにどやされんですよ。ツアー行く度、外国行く度に。世界ツアーなんてしたら疑惑の目を向けられて何ヶ月過ごすと思うんです?俺だってつかねんですよ」
どこか必死な雄也の台詞を太朗と伊知郎は聞耳を立てて顔を見合わせた。
『なぁ太朗……。俺が結婚するって言ったらどう思う?』
「――……まさか、なぁ………」
苦笑いして太朗は一旦、冷静に考えた。
雄也に恋人がいて、その恋人に浮気と思われるからツアーをしたくない。つまり、思われたくないほど雄也がその人物を好いている。
冷静にそう考えて太朗と伊知郎は込み上げる笑いを必死に堪えた。
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