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「――全くもう……痛いったらありゃしない。こんなボロボロに殴ることないのに………」 ボヤきながら善はカレーを作っていた。マンションの一室にある部屋だ。 善の顔にガーゼと絆創膏が張ってあるが平然としている。 「善兄、ゲームしよ?」 鍋をかき回す善に冬樹が言った。まだ小学生の低学年の冬樹。ゲームとギターが大好きな子供に育っていた。 「晩御飯の後ね」 「今がいいの!」 「カレー焦げちゃうでしょ!」 善が言うと冬樹は膨れっ面でリビングのゲーム機の前に座った。 「全くもう、ゲームばっかりやって……。兄ちゃんといい冬樹といい、どうして何か一つに熱中しちゃうのかな……」 呟いて善は生野菜を切って簡単なサラダを作った。 「よし、出来上がり!冬樹、ご飯!」 器に盛って善が和室のちゃぶ台の上に置いた。
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