―喪失する感情―

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  僕はこのころ、脳をラップ  でくるまれたように感じてい  た。現実と自分の間に薄い膜  があり、起きている事象は理  解できるのに感情に訴えてこ  ない。悲しさは認識しても涙  が出ない。なんとも、もどか  しいのだ。
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