『うつと向き合う』上

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  帰路の中央線は、なかなか  発車しなかった。   「××駅で人身事故のため  ……」というアナウンスが流  れた。飽きるほど何度も聞い  てきたのに、今でも身体が強  ばる。おそらく自殺だろう。  僕自身がその「人身」になっ  ていた可能性は、十分過ぎる  ほどあった。本を書くために  は、あのころをしっかりと思  い出す必要がある。引き戻さ  れてしまうのではという恐怖  を覚えた。
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