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帰路の中央線は、なかなか
発車しなかった。
「××駅で人身事故のため
……」というアナウンスが流
れた。飽きるほど何度も聞い
てきたのに、今でも身体が強
ばる。おそらく自殺だろう。
僕自身がその「人身」になっ
ていた可能性は、十分過ぎる
ほどあった。本を書くために
は、あのころをしっかりと思
い出す必要がある。引き戻さ
れてしまうのではという恐怖
を覚えた。
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