些細なある日に…

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「…」 沈黙の教室に流れる音は時計の音だけ… もう時刻は6時を回っていた まだ決めきれない自分にイラつき自分の顔をビンタする パチン! 大きく教室中に響く 廊下にも聞こえたかもしれない そのくらい大きかった いまのビンタで決意がついた 「持って返ろう!」 急いで鞄に袋を入れ教室を後にする 電車の時間が迫っているためやや小走りだ 学校から駅までは歩いて約10分 教室をでるころであと8分だったため危なかった たった2分だが電車はほんの数秒が命とりだ 2分はけっこう大きい この電車を乗り遅れれば寒い駅で30分ちかくまっていなければならない 「はぁはぁ…」 なんとか電車には間に合ったが2月なのに汗だくになってしまった おまけに車内には暖房がガンガン入っている まさに灼熱地獄だといえる 「早く着かないかなぁ」 彼は2こ先の駅で降りる 遠くはなくほんの5分なのだが この灼熱地獄から一秒でも早く抜け出したかった ようやく駅に着き自転車置き場へと向かった 外は車内と正反対で寒いと思うくらいだった 汗だくなのでよけいに冷たく感じる… 「早く帰ろう…」 自転車をとばし家に着いたのは7時くらいだった 普段ならすぐにご飯を食べるのだが今はそれどころではなかった そう、あの袋が気になっていた 部屋に入ると弟と妹が漫画を読んでいた 「こら、ガキ供!!早く出て行け!」 「兄ちゃんのケチ~」 そういうとすぐに出ていったが部屋がめちゃくちゃ このガキ供は悩みの種になっている しかし今はそんなことよりも袋が気になってしょうがなかった 部屋を片付ける余裕はもちろんない 机に着き鞄から例の袋を出し机の上に置いた 不安ながらも…しかし希望に期待しながら袋を開ける 中にはハート型のチョコが透明な袋に入っていた そして手紙が入っていた… 恐る恐る読んでみる 「督太より愛をこめて」 「督太!?あいつ…こっち系の趣味だったのか…」 そうは言うものの他人からチョコを貰うのは初めてだったため 男からでも嬉しさを隠せなかった 「あいつ…意外とイイ奴なんだな…」 そう言いチョコを一口かじる… その瞬間… 「!?!?!?!?」 あまりの辛さに声も出ない そうこのチョコにはタバスコが大量に入っていたのだ 「あのやろ~💢」 目に涙を浮かべながら、やられたと思うヒロコフだった… いつもとは少し違うヒロコフの些細な一日であった… 完
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