夕闇色

3/6
6571人が本棚に入れています
本棚に追加
/390ページ
「だから、お姉ちゃんの居場所分かったんだよ」 そう言い終えた後、私は桜の手を掴んだ。 逃げられないように。痣が出るくらい。強く。 桜は無表情のまま、言った。 「違う…。私は、手紙にそんなこと書いてない。」 桜が手紙に書いたのは、 『最後まで自分勝手でごめんなさい。私は死にたくない…。美羽には悪いけど、私みたいな人間が、最終的には生き残るのよ。』 このような内容だった。 このことを聞いた美羽。 「─────…早く来て。」 今の私にとって、そんなことはどうでもよかった。 自分の生死が関係してるんだ。 桜の生きるための口実なんて、耳に入らなかった。 でも、桜の言っていたことは、嘘ではなかった。 手紙の内容が変わっていたのは…… 美沙の仕業だった。
/390ページ

最初のコメントを投稿しよう!