とある一つの物語

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日が暮れてきた。 窓の外が暗い。窓から見える家の明かりがポツポツとつき始めていた。 それそろアマネも起きただろう。と、ケーキを適当に選び二階へと持って行く。 「今日はケーキ2つも食べるの?太るわよ?」 母さんの心配も関係なし。 「いいよ太ったって」 そう言い残して部屋に入った。 まだスヤスヤと寝息を立てて眠っているアマネを横目に、小さめの折りたたみ式テーブルを押し入れから出し、組み立てて部屋の真ん中に置く。 そこにさっき選んだケーキ──チーズケーキの乗った皿を置き、ふと気づく。 そういやそろそろテレビの時間だな。 電池が切れかかっているのか、ボタンを強く長押ししないと効かないリモコンをテレビに向け、ボタンを押す。 チャンネルを合わせる必要は無かった。 もう、見たい番組のチャンネルになっていた。『未来の世界』という番組。未来にできるハイテクな電子機器や、どのような生活が出来るようになるのかを紹介する番組だ。 実はハルカは、未来の世界に興味を持っている。空飛ぶ車や自動探知マシン、超高画質のテレビ電話、人工臓器etc‥‥実に興味深い。 頑張れ世界の技術者!と心の中で応援していたりもする。他からみたら笑っちゃうよね。 「くだらない」 後ろから聞こえた声に振り向く。 アマネが起きていた。 「な、なにがくだらないんだよ」 アマネは寝起きで、眠そうな半開きの目を擦っている。 「誰がこの世界の未来を守ってると思ってるのよ」 そう言われるとキツいなぁ。 「まあいいけど」 ‥‥どっち?
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