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その後あの少女と別れ、‥‥別れ、別れたはずだったんだけど‥‥
なんで家まで付いてくるの‥‥
「キョーミ湧いたから」
だってさ。
一階と二階の間に挟まっているのが珍しいって。
ただいまも言わずに家に入る。
少女もズカズカと乗り込んできた。
鞄から弁当箱を取り出し、流し台に置いて二階の自分の部屋へと向かう。
いつも通りの表情で、いつも通りの行動をしたつもりだ。親に怪しまれてはいないよね。
部屋に入ると、扉を閉めた。
「まだ名前訊いてなかった」
いくら他の人に聞こえないとわかっていてもビクッとする。
「私は雨音(アマネ)」
「僕は‥‥晴夏(ハルカ)だけど、君は‥‥」
「アマネだって」
「ああ、アマネ‥‥さんは誰に名前とかつけてもらうの?」
アマネはベッドに腰をおろす。
「さんなんていらないよ、自分で付けたんだから」
「自分で?」
「そ、自分で。だって名前なんて付けてくれる人いないし」
アマネは堂々とシングルベッドに寝転がり、伸びをする。
「ふかふかベッド気持ちいい」
語尾にハートマークが付きそうな可愛い声でそう言っていた。
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