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パソコンの光が目に眩しい。
カーテンを締め切った暗い部屋では、当然の事だ。
顔を上げると、驚くくらいに視界がぼやけた。
暗闇の粒子と粒子の間隔が広がった気がする。
また視力悪くなったな、俺。
自分の事が、まるで他人事のように感じられた。
もう自分は、ここにいなくて、ここにいる自分は抜け殻なのかもしれない。
なんて。
思いもしない事を、考えながら、パソコンの画面に目をこらす。
動画共有サイトは今日も活気がある。
たまに、プッと吹き出すような笑いが起こるから、止められない。
いやむしろ、止めてしまったら、俺はどうかしてしまうじゃないかと思う。
何もしていないと、どうしてもあの事を考えてしまうから。忘れもしない二ヶ月
前、たしかに起きたあの事件。
言葉は万能だ。
時に盾となり、人を守り、時に剣となり、人を攻め、時に本となり、人を悟し、時に橋となり、親睦を深めることができる。
だが、使い手は十分に使いこなせるとは限らない。
盾としたつもりが剣になることもある。
そしてそれは時に致命傷にもなる。
俺は、それをしてしまったのだ。
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