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猫耳娘を傘の中に招き入れ、彼女の陶器のように白く小綺麗な顔に見とれながら、俺はふと現実に戻った。
頼まれたからこれから同棲。
いくら雨の日だからと言っても、現代日本の倫理観からしておかしい。
おそらく、はいそうですか、と易々と泊めようなんて、後で手を出す来満々の犯罪者予備軍くらいじゃないだろうか。
猫耳娘へと視線を移す。
立ち止まってる俺の顔を不機嫌そうに睨み返す顔に悪意も、一抹の疑問や、申し訳なさも感じない。
それを見て、その質問やら、それに付随するすべての会話は無駄になるだろうことを悟った。
「いつまで立ち止まっているのよ。早く歩きなさいよ」
「はいはい」
泊めるとは言っても、尻に敷かれるのは少しいやだった。
部屋に入るなり、猫耳娘は、俺のクローゼットを漁り、とりあえず着られそうな物を探す作業に入った。
もう、そこまで世間を逸していると、人間とは不思議なもので、
それが至極当然であるかのように見てしまうらしく、俺は黙って、座りながらその一部始終を観察していた。
猫耳娘のお尻がこちらに向く、白い尻たぶが見えるか見えないか、
というような、どうにも魅力的なアングルだ。
内心少し期待しつつ、俺は眺め続ける、と何かがオカシイのに俺は気づいた。
尻から、正確に言うとその少し上から、色のついた綱のような物が生えているのだ。
長さは6、70cmくらいで、何やらとても柔らかそうだ。
だが、これは俺の知っているいわゆる普通の女の子には、くっ付いているものじゃない。
彼女の猫耳を思い出す、あれが耳だとすると、これは……
「尻尾ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
ベしんっ!
尻尾と思われる物体が頭に結構な勢いで、当たった。
柔らかそうに見えたのだが、中身というか、芯はしっかりしているようだ。
「いちいちリアクション大きい!」
また、怒られてしまった。
もしかしたら、猫耳や尻尾を彼女は彼女なりに気にしているのかもしれない。
するとようやく彼女は、気に入った服を見つけたようで、
満足そうに頷くと、おもむろに服をその一枚のTシャツを脱ごうとした。
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