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「と、ストーーーーープ!」 「何よ?」 「部屋を出て行きますので、しばしお待ちを」 俺はそう言って、そそくさと自分の部屋を出て行った。 自分の部屋で裸体を拝むようなことがあったら、自分がどうかしてしまいそうだ。 それこそ欲望に負けて、あの子を押し倒しかねない。 と、そこで俺は思った。 普通こういうのは、男が気を利かせるものじゃなく、女から『すみません、着替えますので』と顔を少し赤らめながら、 目線は少し下に向けつつ、恥ずかしそうに頼むものじゃないか、と。 普通そうであるのに、猫耳娘はそうでなかった、つまりこれは…… 押し倒してよかったんじゃん。 「って、んなわけあるか」 自分の考えを即座に自分で打ち消す。 押し倒してよかったんじゃない。 さっきからの彼女の行動、そして容姿を見る限り、普通ではないのだ。 だから、通常持つはずの羞恥心も持ち合わしていない。 つまりそういう事だ。 自分の論理の鋭さに惚れ惚れしながら、 犯罪に走らずよかったと安堵しながら、猫耳娘が着替え終わるのを俺は待った。   30分立った。 この何も無い廊下では、30分という時間を潰すだけでも相当な苦痛を有する。 もし人間を最も苦しめて殺そうと思ったら、こんな何もない空間に餌を与えつつ、放置してやるのが一番だと思う。 そう考えると、動物達はとても哀れだ。 檻にでも入れられたら、こんな苦痛を一生受け続けなければならないのだから。 人間でよかった、そんな馬鹿みたいな喜びを噛み締めながら、俺は立ち上がった。 さすがに、もう掛かりすぎだ。
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