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カチャ   ドアノブが回り、扉が開く。 人影は見当たらない。 が、直後ベッドの上が妙に膨らんでいるのが目に止まった。 猫耳娘は……寝ていた。 心底幸せそうに、俺の待ち時間など頭の片隅にもないように。 考えてみれば、呼びにこないのも、当たり前だ。 彼女の頭の中じゃ、どうして俺が部屋から出ていったのか、想像もついていないのだろうから。 だからといって、起こしてやるのもかわいそうなので、そのままパソコンの前へと移動する。 何気なく、電源が立ち上がるまでの間、猫耳娘へと視線を向ける。 すると、ちょうど寝返りをうつのが目に止まった。 掛け布団を跳ね除けるようにして、左足が根元まで露になる。 幸い、というか残念ながらと言うのか、上手い具合に右足と交差され、大事な部分は見えることはなかったが、 そんな際どい、見えそうで見えなはがゆさに、逆に駆り立てられてしまうのが男というもので 俺はその姿に釘付けになってしまった。 というか、むしろ、白い太ももに俺の貸した白いTシャツ、そそられない男は男じゃない、とさえ思う。 そんな夢の塊を眺めながら、今日何度目かの違和感に気がついた。 太ももの付け根に、何か黒いものがあるのだ。目を凝らしてみると、ほくろでもなく、何やら文字のようだった。 それは、猫耳や尻尾に比べれば、些細なことではあったが、気になるには気になる。 好奇心は過去にあったことなんて、関係ないもの。 だから、ゆっくりとなるべく足音を立てないように、猫耳娘に近づいた。 その姿はさながら変質者、ちょっと自分で自分が悲しくなった。 「072?」 付け根の文字列は、そう書いてあった。 いや、書いてあったんじゃない、なにやら焼印のようなもので押してあるのだ。 または、刺青か何かか、どちらにせよ、詳しくない俺にはわからなかった。 だが、それにしても、卑猥な数字列だ。 072……どうしてもアレを連想せずにはいられないじゃないか! 「何?」 耳の端からくる、少し不機嫌そうな声。 見ると、目を瞑りながら眉だけを吊り上げ、猫耳娘がいかにも不機嫌そうな顔をこちらに向けていた。 「え、何?」 近づいてセクハラをしよう、としたとでも思われたのだろうか。 だったら、誤解だ。 あ、いや誤解でもないか、こうして観察する事もある意味セクハラだ。
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