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『チャイム』
チャイムが鳴る前に、きみからメールが届いた。
チャイムが鳴って、休み時間の合図。
きみとあたしの、秘密の場所で。
たった1時間の授業でさえ、退屈で長く長く感じるから。
この10分をあたしのものにするために、急いで背伸びしてきみに抱きついた。
きみの香水のにおいに、しずみこむような感覚におちいる。
大きな大きな腕と心。
ぎゅっと抱きしめて。
もっと抱きしめて。
制服の上にはおった厚手のカーディガンが、きみをふわふわさせていて気持ちいい。
何度も何度も、力をいれて。
もっともっときみを感じたい。
髪を優しくなでてくれるから、ねこみたいにゴロゴロいって、次のチャイムは無視していよう。
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