7人が本棚に入れています
本棚に追加
『はまらないピース』
目覚めたら、広いベッドに後輩の男の子が眠っていた。
二日酔いで、頭が痛い。
ガンガンガンガンうるさい頭を抑えて、あきらかな情事があったことを示すあたしたちの様子を見て、涙がこぼれそうになった。
携帯に目をやったら、きみからの着信が何度もあって、ふるえる指でたばこに火をつけた。
昨日、後輩と居酒屋から出る時に、背後にうらめしそうな視線を感じたことを思い出す。
あの子のところに向かうからと、あたしを切り捨てたのはきみなのに。
きみに見せつけたいと思ったのも事実。
きみが傷つけばいいと思ったのも事実。
きみがやきもちをやけばいいと思ったのも事実。
それなのに、
昨日の行為を思い出して、みじめになるのがあたしなんて、そんなの聞いてない。
取り返しのつかない行為と、切れてしまったきみへの背徳。
きみじゃなきゃだめなのは、あたし自身だという事実。
.
最初のコメントを投稿しよう!