胡蝶夢心中

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なぜ人は出逢いから 運命を選び取るの 慄える淡い羽を そっと授かるように 生きることはただ死に 向かうための旅だから 哀しみに気づかぬまま 微笑むときを永遠だと 思って なぜ人は睦み合い かたく手をつなぎ合うの 本当は弱いから 幸せを求めるの? 満開の花の中 迷い込んでいく蝶は 薄墨の風に抱かれ 花びらとなって 土へと埋もれる なぜ人は出逢いから 運命を選び取るの 慄える淡い羽を 握り潰すみたいに 生きることがただ死に 向かうための旅ならば ふたりが生きる行方が ひとつの死になることを 願うだけ
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