風味堂

佐伯カナ

「今日もあいてなかったなぁ……。」

彼女は佐伯カナ。ケーキが大好きな普通のOLさんです。最近この町に住むようになったのです。

なぜここを選んだか、それはカナが気になるケーキ屋がある街だったから。

人気店　’風味堂’
カナも最初の出会いは母のお土産で、一口で気に入ったクチである。一人暮らしをしたのなら、絶対近くに住んでやる！カナは心に決めていた。

わざわざホ－ムページを探し当て、場所まで調べておいたほど、カナの決心は固かった。思いのほか近くにあった。

そして念願の暮らしを始めようとしていた…。しかしカナが引っ越して来てから、それが開いているのを見たことがない。

「せっかく探したのに…。そんなに人気あるんだ。」

あまりに人気だから売り切り閉店なのだろうか。もちろん会社の行きにもチェックしていた。店内を掃除する人影が見えていた。

’風味堂　’は店内でもケーキが食べられるらしい。会社帰りにふらっと寄ったりするのを夢見て引っ越したのに…。諦めきれないカナ。