俺はヒール

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バンバンバンバンバン❗入場曲に導かれて、花道を通りリングに向かった。俺の入場曲は、お客さんによる手拍子だ。疎らな客席に目をやりながら、月光お面のリングインを待つ。 『あっれはぁ、誰ぇだ!誰ぇだ!デ‥‥‥』 全く違うアニメのテーマソングが流れだし、月光お面が入場してきた。 流石に老いたとはいえ、人気があって歓声も僅かにある。 ゆっくりゆっくりリングインした月光お面が、リングを一周して観客に手を振っていた。 『ウッゼェ‥倒しちゃおうかな』 俺はヒールの力を開放した。 後ろを向いてマントをとっている月光お面の後頭部にラリアット喰らわせた。 『お面野郎!』 ラリアットがヒットすると同時に、試合開始のゴングが鳴る。 『カァァァァン❗』 倒れ込んだ月光お面にストンピングお見舞いして、頭を踏みつけながら適当に罵る。 『chicken、or、beef』を光の速さで唱えて何となく英語で罵っている雰囲気をだした。 レフリーに押されて、リングの中央に戻り月光お面が起き上がるのを待つ。 『おぉ面!おぉ面!』観客のお面コールでゆっくり頭を振りながら起き上がる月光お面。(JBかよ) 勿論俺は悪役。なので、回復を待つつもりは無い。
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