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『今日の試合はどうだったの?楽しかった?』
母ちゃんが、肉を焼きながら試合の感想を求めてきた。俺が試合の時は、必ず聞いてくる。
『楽しくはないよ、負けちゃったからね、悔しいかな』母ちゃんは、俺がヒールをやっているとは思ってないし、プロレスもあまり興味が無いので、大人が正義と悪者に別れてじゃれあってるとしか思っていない。
『そっか~、でも、めげずに頑張るのよ!正義は勝ぁつ!』菜箸を握った拳を振り上げて、叫んだからビックリした。
『母さん、ビール。大体お前は、いつまで遊んでるつもりだ!早く就職しろ!』親父がいつもの小言を言い、俺を睨みつける。
『一応就職したんだけど…、まあ、もうちょい待ってよ。その内チャンピオンになって、贅沢さしてあげるから』
俺も、いつもの台詞を呟き肉を貪り食って、自分の部屋に戻り、小一時間程筋トレをしてから、眠りについた。
『お父さん、あまり口うるさく言っちゃ駄目よ!太は正義の味方なんだから!』
『母さん俺だって分かってるよ、だが、太の奴全然テレビにも出ないじゃないか』
『もう、お父さんは何も分かってないんだから、テレビでやってるのはK-1よ、太は、UFCよ!』
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