俺はヒール

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バシャァァ❗ 『プハ!ッアップ』 思いっきり水をかけられて、目が覚める。 『大丈夫か?またアイツ等に無茶苦茶やられたな』同期のレスラーに起こされ、思い出した。 (あ、気失ってたのか)スパーリングとは、名だけのイジメだった。 今流行りの可愛がりってやつだ。 2対1でボッコボコにされた、拳でぶん殴られ、投げられ、関節技でフラフラの所を延髄切りを喰らって、気絶。 それが、いつものフルコースだ。 『大丈夫、これもトレーニングだし、いつか必ず見返すから、今は我慢するしかない』 同期の大田が心配していたので、笑顔で言った。リングを降りて、しばらく横になって休んだ。 顔に冷たいタオルを巻き、他の選手のトレーニングをする音を聞きながら、自分に誓う。 (見てろよ、絶対俺はトップに立ってみせる!俺を馬鹿にして、余裕こいてろ、ロンドン!お前の背中はもうすぐなんだからな!) 馬鹿にされても堪えるしかない、チャンスはもう直ぐ来る、今はひたすら隠した刀を磨き続けるだけだ。 悔し涙は、タオルが拭ってくれた。
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